辞めた会社に『出戻る』という選択肢はアリなのか

サイバーエージェントが新しく導入した人事制度に「ウェルカムバックレター制度」というものがあるそうです。

退職者が会社に戻ってきた場合「もとの待遇以上」での復職を2年間保証する

というものらしいのですが、サイバーエージェントはこういった目新しい人事制度を次々と導入することによって転職市場での優位性を高めてきています。

出戻り制度を採用している会社は多い

この出戻り制度ですが、実は「ブーメラン制度」「再入社パスポート」などといった名前で採用している会社も多いようです。

[blogcard url="http://careerhack.en-japan.com/report/detail/216"]

35歳以下のエンジニアやスタッフを対象とした、転職や留学など、環境を変えて自分を成長させるために利用できる制度で、利用者には「再入社パスポート」が交付され、退職後6年間は復帰が可能というものだ。

出戻り社員(再雇用)の受け入れをしたことがある企業は72%

また、エンジャパンの調査によると「出戻り採用」をしたことがある企業は72%にも及び、再雇用をしたことがない企業でも「再雇用したいと思う」と答えた企業が30%にもなったそうです。 [blogcard url="http://corp.en-japan.com/newsrelease/2015/2883.html"] 出戻り1

ではこのような企業が再雇用を受け入れる理由はなんなのでしょうか。

即戦力になる

このアンケートで「再雇用をしたことがある」と回答した企業のうち、再雇用の理由を「即戦力を求めていたから」と回答した企業は39%で一位でした。やはり企業にとっても転職者にとっても一番のメリットですよね、仕事の内容がよく分かっているので転職したその日から活躍できることが期待できます。教育コストがかからないのも大きいです。

さらにそれだけではありません、転職者は一度外に出たことによって違う会社の仕事のやり方を経験し、以前いた時よりもスキルアップしており、客観的な視点も身につけているので、元々の職場にフィードバックできることは多いはずです。

人となりが既に分かっているため安心

出戻り社員受け入れ理由アンケートの2位は「人となりが分かっているため、安心だから」で38%の企業が理由としていました。人材採用のリスクの一つに面接だけでは分からなかった人間性の問題があります。

性格がとんでもない人だったり、相性の問題だったり、入社してしばらく働いてみないとなかなか見抜けないところですが、出戻り社員はこの点がクリアなので、周りの人間も「どうやって接すれば良いのか分かっている」という精神的な安心感はお互いに大きいものだと思います。

また、一度辞めて戻って来たからこそ、会社の良さを深く理解しており、忠誠心が高いと言える部分もあります。簡単に言えば、次はそう簡単に辞められないという覚悟を持っているからです。

出戻りするのは恥ずかしい?

このように出戻りを歓迎する企業も多く、実際出戻りする人も多いようですが、実際転職者が出戻りを考えたときに思い浮かぶのは、辞めた会社にまた入れてくださいと言うのは、決してカッコよくない、恥ずかしい行為だということです。

実際はそんなこと大して誰も気にしないのかもしれませんが、本人にとってはそれは勇気の必要なことです。それこそ、恥を忍んで頭を下げる必要があります。

頭を下げてお願いしたとしても、最終的に断られる可能性だって十分あるわけですから、転職者にとって出戻りをお願いするというのは非常に勇気のいることです。だから、冒頭のような制度化された出戻りの仕組みというのは、お互いのメリットを活かすという意味でとてもいい制度だなと思いました。

メリットがあるからといって、そう簡単に事が運ばないのも人情です。出戻りを認めないという企業の理由としては『何らかの理由で会社の事が嫌になっているので、再雇用してもまた嫌になり退職するのではないか』『長く勤めている社員に失礼』と、どちらかというと感情面での反対理由のように感じます。辞めた人間に対して怒りや負の感情を持っている人が採用担当や意思決定者だとなかなか成立しないんでしょうね。

なんかこの辺は、別れた恋人に対する感情や関係とも似ている気がします。難しいところです。