ネットワークビジネスで有名なニュースキンのセミナーに参加した話

何年か前の話ですが、ネットワークビジネスで有名なニュースキンセミナーに参加したことがあります。もちろん、興味があって参加したわけじゃなくて、知り合いに騙されて誘われて参加してしまったという話なんですが、ニュースキンセミナーがどんなものか、その手口と体験談を書きたいと思います。

第一章:食事の誘い

ぼくをニュースキンセミナーに誘ってきたのは以前働いていた会社の同僚(以後Aさん)でした。Aさんは同じ会社で新卒から働いていて、ぼくは転職組なので「転職してしばらく経つけど、どんな感じか話を聞きたい」、そんな相談を転職を考えている元同僚から受けることは多いので、今回もその手の話だろうと、食事に誘われても何も疑っていませんでした。

第二章:再開

そして実際に食事の日になりました。それは日曜日のちょうどお昼頃、都内某所で待ち合わせ、適当にランチを一緒に食べました。その時は転職した会社のこと、以前の会社のこと、最近の転職市場についてなど、近況報告と同時にAさんも転職を考えているということで、純粋にぼくはそれについてのアドバイスをしたりしていました。小一時間経ち、ランチを食べたあと、もう少し話を聞きたいからということで、ぼくたちは喫茶店に入りました。そこではどちらかというと、将来の目標についてや、これからどうしていきたいかということを中心に話していました。

第三章:伏線

しかし、今思えば、これも勧誘のテクニックなんだろうなと思います。なぜなら、普通の人は「現状への不満」か「将来の目標」、このどちらかを持っていて、それを解消、叶えることができるのがネットワークビジネスなんだよというロジックになっているからです。ネットワークビジネスの活動を詳しく知っているわけではないですが、かなり頻繁にグループという仲間内で集まって、新規勧誘のためのトレーニングが行われているそうです。そこにはマニュアルやテクニックなんてのも当たり前にあるんだろうなと想像できます。

第四章:興味

そしてぼくはお金持ちになりたいと思っているし、起業にも興味があるというような話をしました。Aさんもサラリーマンを続けていくことに疑問を感じていて、最近いろいろなビジネス系のセミナーに参加したり、そこで会った人と話したりして刺激をもらっている、良かったら今日の夜にも、セミナーがあるから参加してみない?という感じで誘われました。その時、ぼくは引き寄せの法則についてちょうど本を読んでいた頃だったし、これも何かの縁だろうという軽い気持ちで参加してみることにしました。この時点では、セミナーの内容はビジネス的に成功している人の話を聞けるし、他の人とも交流できるものだとくらいしか聞いていませんでした。

第五章:セミナー会場の違和感

セミナーは夜だったのでAさんとぼくは一旦別れ、ぼくは都内をぶらぶらしたあと、セミナー会場で待ち合わせました。セミナー会場についたぼくは、いきなり違和感を感じます。小規模なセミナーだと聞いていたのに、会場の入り口にはざっと50人前後の人が行列を作って並んでいました。日曜の夜にこれだけの人数が集まる(しかも参加費1000円)という時点で若干違和感を感じますし、何よりおかしいと思い始めたのは、その人たちがすれ違うたびに挨拶を交わしていて顔見知りのような雰囲気だったからです。しかし、これだけなら良質なセミナーであればたった1000円で貴重な情報が得られる、リピーター率の高いセミナーなんだとも考えることができます。

第六章:セミナー会場の違和感その2

そして会場に現れたAさんはなんとスーツに着替えていました。並んでいる人も大半がスーツです。まぁ、世の中にはいろんなセミナーがあるでしょうし、ビジネス系のセミナーだったらスーツな人がいてもおかしくはないと思いますが、わざわざ一度家に帰って、スーツに着替えてくるというのはなんなんだろうという違和感にぼくは再び包まれました。ただ、それも各々の考え方次第だし、セミナーの趣によっては、私服であるぼくの方が浮いてる感じかもしれないと思い、一旦納得しました。

第七章:違和感の正体

しかし、これはアウトだと思ったのは開場して、受付で出席のチェックを受けたときでした。 チェック表を渡されて記入したのですが、書く項目として

・名前 ・グループ名 ・新規かどうか

という3つのチェック項目に自分で記載する方式になっていました。 グループ名・・・・? 新規・・・? そうです、自分の周りに並んでいる50人前後の人の殆どが新規ではありませんでした。 このセミナーは、ぼく(を含めてたった数名の)新規を囲い込むために用意されたものだったのです。満席御礼のセミナー会場を演出することにより心理的障壁を取り除くために集まっているのです。

第八章:主催者の言葉

日曜日の夜という貴重な時間を使って、ぼくは一体なにをしているんだろうという気持ちが湧いてきて、正直帰りたくてしょうがない気持ちになってきましたが、受付を済ますとAさんはすぐに「紹介したい人がいる」と言って、ぼくをセミナーの主催者、今日の講師(ビジネス的に成功している人)に会わせてくれました。その時の主催者の言葉も忘れられません。

「今日は人生を変える大事な日になる。」

そんなこと初対面の人にいきなり言いますか、普通。 そして、もうひとりの講師の人がぼくの前に挨拶していた顔見知りだと思われる、ひょろっとした自信のなさそうな人に声をかけていました。

「そうだ、スーツを着ろ、シャキッとして自分に自信を持て!」

どうやらスーツ着用は主催者側の推奨らしいです。 これの効果はよく分かりませんが、ちゃんとしている人たちがやってるという印象を持たせるためなのでしょうか。そんなんじゃ勧誘できないぞ、という発破をかけていたのかもしれません。ネットワークビジネスでは勧誘こそが全てですからね。

第九章:逆に面白くなってくる

その時点だけでもだいぶ洗脳だと思いましたが、この頃には逆に今までネットワークビジネスというだけで過剰に拒否してきたから、セミナーに参加することなんて絶対あり得なかったので、1度経験してみるのも悪くないかもしれないと思い始めていました。つまり、このブログのネタにするために参加してみることにしました。好奇心です。

そして2時間という長丁場のセミナーがスタートしたのですが、圧巻でした。

講師の一言一言に会場中が大爆笑。

講師のちょっとした小ネタに「うんうん」と大げさな相槌

何をそんなにメモるんだというくらい異常にメモりまくる参加者

ここはテレビ番組の観覧席か! 何が気持ち悪いって、この人たちのほとんどがセミナーに毎回出席している身内だということです。同じ話を何度も何度も聞き飽きるくらい聞かされいるはずです。わざと会場全体を熱狂的な雰囲気に持っていきたいがために仕組まれたサクラ達です。ネットワークビジネスの仕組みの良し悪しは置いといて、製品が非常に優れているもの、だったとしてもですよ。これは詐欺の手口以外の何者でもないでしょう。雰囲気に飲み込ませる、マインドコントロールですよ。

セミナーの最中に繰り返される言葉は「チャンス」、今がニュースキンを始める最大のチャンスである、と。調べてみたらニュースキン発祥以来、ずっとそういう感じで勧誘しているようです。確かに講師の語り口はプロのレベルだし、会場の雰囲気も熱い、これは抗体のない人は興味も持つかもしれないなと思いました。

第十章:セミナー終了後

そして、セミナーが終わってから、ぼくはもう飽き飽きしていたので即効で帰ろうとしたのですが、A君に呼び止められます。「今日のセミナーの感想とか、疑問点について、参加者同士で意見交換する10分くらいの会があるんだけど、よかったら行かない?」

行きません。

これって有名な喫茶店・ファミレスでのABC (長時間拘束勧誘)への誘いじゃないですか。

でもAさんもなかなか引き下がりません。 おそらく、ここでの引き止め率が大事なのでしょう。

「このビジネスで成功している若い人も来るから話聞くだけでも損しないと思うよ。」

行きません。

第十一章:援護射撃

何度か、誘われは断りを繰り返していると、どうやらAさんの知り合いらしき人が現れました。 めんどくさくなったなーと思いつつ、自己紹介もそこそこに帰りたいという意思表示をしていると

「ところで、なにか夢とかありますか?」

もうくそめんどくさい。 夢を叶える=このビジネスに参加する、論点のすり替えへの道筋が綺麗にみえます。 下手くそだなーと思いつつ、マルチ商法のマニュアルそのまんまなんですよね。

「夢はありますけど、あなたには話したくはありません。ファミレスにも行きませんし、今日は帰ります。ビジネスにも一切興味ありません。」

結局、駅ぎりぎりまで付いてこられましたが、諦められて最後の最後にお土産に、ビジネスについての解説DVDとやらをもらいました。これも何度もいらないと言ったにも関わらず、渡そうとするもんで、受け取ったあと、帰りにすぐに捨てたんですが、後日Aさんから「DVDの感想を聞きたいし、貸したDVDを返してほしいから会いたい。」と言われて、これもマニュアルだったのかなと思いました。セミナー、ファミレス、DVD、後日とてんこ盛りです。興味が少しでもあれば、より詳しく知るための3日間くらいかけて参加するセミナーもあるというようなこともAさんは言ってました。

最終章:ぼくがネットワークビジネスが嫌いな理由

今回だけじゃなく、東京にきてから何度も何度もネットワークビジネスの勧誘をされたことがありますが、ぼくはネットワークビジネスが大嫌いです。その理由は ・最初は関係ない話から入って徐々にアプローチしてくる手口が騙そうとしているようにしかみえない。 ・さも人のためのように勧めるが結局、自分のことしか考えていない。 ・製品を売る商売のように見えるが実際に売るのは家族や友人である、ということに本人が気付いていない。 だからです。

ネットワークビジネスをやってる人は、人を自分の傘下におさめることによって、自分の利益に還元しようとしている、やっているのはそれだけですよ。自分の利益のために友達を売ろうとしているのです。やりたいなら自分だけでやればいいのに、人を巻き込むことが全てであるところが、ネットワークビジネスの1番嫌いなところです。

でも、まぁ、こうやってネタにはなったので何事も体験ですね。いつか喫茶店にも行ってみたいです。

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