ぼくは今まで2回転職してきましたが、会社を辞めた理由は実は同じです。
その理由とは
自分のスキルが他の会社で通用しなくなるのが恐い
ということでした。 例えば、他の会社で使っていない独自フレームワークを多様していたり、独特の開発運用文化があったりすると、長年働けば働くほど、その会社の文化に染まっていく自分がいます。そうなったときに、自分の市場価値は落ちていくばかりなんじゃないだろうかと思うと、怖くてたまらなくなってくるのです。
社会人のスキルには2パターンあります。
- その会社でしか通用しないスキル
- どこの会社でも通用するスキル
その会社でしか通用しないスキル
長く同じ会社にいればいるほど、その会社でしか通用しないスキルが伸びていきます。サービスに最適化された経験則とも言えるので、「その会社でしか通用しないスキル」が一概に悪いかと言えば、その会社にとっては熟練した頼れる存在なので、絶対的悪とも言えません。
例えば、障害が起きた時に、一見Aが悪いように見えるけど、これはCでBが起きているから、Aに影響が出ているみたいなことが長年付き合ってきた経験則から瞬時に判断できるようになります。業務知識が蓄積していくと、その会社の中での業務運用のスペシャリストとして活躍していけます。
つまり、長年1つの会社に勤めるとその会社独自の業務運用スキルが伸びていきます。これはゆるやかに積み重ねていく経験値です。会社にとっては必要な人材です。
ただ、その会社独自の業務運用スキルは一歩外に出ると全く使えないことが多いです。
どこの会社でも通用するスキル
一方で、転職をすると多かれ少なかれカルチャーショックを受けます。また、扱うサービスやシステムが異なり、担当するレイヤーが変わったりすると、最初は全く何もわからない状態に陥ります。
ただ、その全くわからない状態から、1つずつ覚えていき、ある程度分かってくるまでの間に取得したスキルというのは、どこの会社でも通用する普遍的なスキルであるという実感があります。
そしてその時が一番、自分の成長を感じられる時です。 人はまったく新しい環境に飛び込んで試行錯誤の上で壁を乗り越えたときにこそ一番成長できる気がします。自分の成長を加速させたければ、環境を変えるのが一番手っ取り早いです。
だからぼくは2回の転職を経て、急激な成長の機会を自分に与えることができたので、転職して良かったと思っています。
同じ会社に長くいるのも1つの才能
ぼくもいま32歳で、結婚している友人も多いですが、友人の中には高校時代から10年付き合って結婚したなんて人もいます。
その友人の結婚式で思ったのが
「ああ、もう自分には若い頃から長年付き合って結婚するなんて選択肢はなくなっていたんだな」
ということでした。 同じようなことを最近、仕事でも感じます。
新卒の時の同期には、もちろん1度も辞めず残っている人も多いのですが、その会社の中で着実に実績と信頼を積み重ねていって出世していっている人もたくさんいます。そうやって長く勤めることによって得られるメリットみたいなものもあって、複数の会社を数年ずつで辞めていった自分にはなくなっていた選択肢だったとも思いました。
転職は得られるものも失うものもある
会社に依存して生きていく人はその会社でしか通用しないスキルが身についていき結果的に高い給与や退職金が手に入る確率は上がります。これはこれで一つの選択肢でしょう。ただ、年齢を重ねて初めて他の会社に移ったときに活躍できる可能性はぐっと低くなってしまいます。若い時にリスクをとって環境への適応経験と、普遍的なスキルの取得をしてこなかったからです。
ただ、どこでも活躍できる人になったからと言って一生転々とするわけにも行かないし、選択肢が広がるというだけで、結果的にどっちの人生がよかったかなんてことは誰にも分からないのです。
自分のゴール設定と価値観の問題ですね。 どういう生き方をするのか、しっかり考えて決めなくてはいけない問題です。