ウェブエンジニアという生き方

修士論文の息抜きにウェブ時代をゆくという本を読みました。梅田望夫さんという有名な人の書いた本ですけど、著書である「ウェブ進化論」「ウェブ人間論」というシリーズの完結編でとても良い本です。Webに興味のある人で読んだことがない人という人は必読です。そしてこの手の話に共感しない人ならば、WEはきっと向いていないので止めた方がいいと思うくらいです。

【引用始まり】 — 若いエンジニア層というのは基本的にそういう世界が好きで好きでたまらない人々だ。日々の試行錯誤の中で自分の書いたCODEが起こす小さな奇跡が楽しくて仕方がない。そして人間というのは「楽しくて」やっているうちは意味とか理由とか深く考えないものだ。ましてや「歴史上の意味」なんて想像だにしない。しかし、視点を変えてみればこれから起こりうるであろう人類史上の大変化に直接携わることのできる場所に生きている。この日本というIT先進国で。このエキサイティングな運命にもっと興奮していい。なんという幸運だろう。全てのWebエンジニアは今「産業革命前夜」のイギリスにいる工業技師のようなものだ。これから起きる「革命」の一翼を確かに担っている。【引用終わり】 —

なぜWebなのか。ぼくはここでこうしてブログを長年続けてきて、世の中に自分の考えを発信し、その反応をダイレクトに感じてきました。自分が世の中にほんのわずかでも影響を与えているという実感、そしてそれによって自分も成長するという体験。世界の中の自分を感じ、世界中の人々の生活を変え得る仕事に魅力を感じたからWebという世界なのです。逆にぼくから言わせると、エンジニアになろうという人がなぜWeb以外を選択できるのか理解できないくらいです。おもしろいことを追い求める人生、そういう生き方をしていきたい。

自分が入社する会社の2chのスレは書き込んだことがないものの毎日チェックしています。2chなので、ネガティブな書き込みばかりなのですが、そのほとんどがお金の話です。そりゃお金はあればあるほどいいのは事実です。生活は大事だし家族ができれば養う責任も必要です。けれど年収の不満や残業の強弱、ましてやITは下火だからやめとけとか、そういうのって果たして本質的なことでしょうか。WebをITの分野の一つだとしか捉えていない、自分の足元の生活しか見ていないのは視野が狭すぎるのではないでしょうか。

これが紛れもなく今のぼくの考え方であり、それが学生特有の現実を知らない世の中を知らない甘い考え方だと批判されてもそれは構いません。少なくとも今はそう思う、後悔するような生き方はしていない、それで十分だと思っています。後に考え方が変わったとしても、確実に自分の人生の糧となる、それが大事です。日本は保守的な人が多くて足の引っ張り合いが好きな人種ですが、もっと可能性を追い求めるようなエキサイティングな生き方をしても良いのではないでしょうか。人の生き方の否定の根底にあるのは自分の生き方の肯定化ではないですか?肩書きのない自分に自信はありますか?仮に最初に入った会社が何か違うのであれば、その会社で学べる全てを吸収した後、働く会社を変えたらいいし、友人といっしょに新しく作ってもいいし、方法はいくらでもあります。一番大事なのはその目的であり、世界中の人を巻き込んで新しい価値を作り出したい、おもしろいこと、楽しいことがしたい、という情熱です。

【引用始まり】 — 同時代の最先端を走り、歴史の変わり目の時期にその歴史を書き換える可能性のある現場に主役として参加できるチャンスは滅多にない。生まれる時代がずれればそもそもそういう人生にはめぐり合わない。生まれる時代が正しくても違う場所にいれば、革命的変化が起きていることすら知らずに一生を終える。【引用終わり】 —

格差社会なんて言葉もありますが、インターネットの発展と共にある意味、真逆の方向に時代は進んでいこうとしています。マイクロソフトやインテル、IBM、アップルがPCによるインフラを築き、その上にヤフーやグーグルといった次世代のネット企業が検索を軸にしたWebというインフラを築きました。この間わずか25年です。次の25年で間違いなく時代はさらに大きく変化を遂げます、そしてそれを作っていくのはぼくらの世代なのです。

この本はインターネットの話だけではなく、筆者の人生を例に出しながら人生の好きなことの見つけ方、働くということについて、古い価値観や職業、新しい価値観や職業について細かく解説されており、人生の指南書としても非常に役に立つはずです。例えばあなたは宇宙開発を小さい頃から夢見てきており、日本の理工学部を卒業した後アメリカのスタンフォード大学で博士号を習得した学生だとします。しかし大学院を卒業した後の進路としては大学に残って研究者になるか、NASAに入るか、ボーイング等の大企業に入るくらいしかありません。それらは古い職業ですが、全世界の優秀な学生とその少ない席を争うことになります。一方、あなたの専門分野は熱制御だったのですが、たまたま今回グーグルが巨大コンピュータシステム構築に必要な熱制御に関する知識のある人材を新しい職業として募集開始しました。さて、あなたなら直感的にどっちの職業の道に魅力を感じましたか?ここがその人の価値観が問われる部分でどちらが正しいということはないのですが、ぼくも以前悩んだ問題でぼくならグーグルを選んだということになるのです。

大企業には大企業なりの、ベンチャーにはベンチャーなりの良さ悪さがあり、それぞれ自分のタイプに合わせて生きていけばいいし、その中での生き抜き方が本書では述べられています。
【引用始まり】 — 様々な経営能力、ビッグビジネスの海外での立ち上げ、巨大製造業におけるものづくり関連の全て、半導体や液晶ディスプレイのような巨大設備投資ができる会社にいなければ磨くことのできない技術、グローバル生産体制やそれを支える巨大情報システム、グローバル・マーケティング、巨大企業の財務など、大組織でしか磨くことができない専門性は枚挙にいとまがない。社内の可能性空間を眺めて、自分の志向性にあった「大組織のプロ」を目指せばいい。【引用終わり】 —

【引用始まり】 — ベンチャーとは「緊張感溢れる仕事環境に身を置くことで、個が成長できる場」であり、そこで何年か過ごすことができればその後のキャリアにプラスに働くし、面白い人と出会う可能性も高い。金銭的な動機より、そういう無形の価値を重視したほうがいい。【引用終わり】 —
ちなみに中小企業で長くまったり働こうというのは一番危険な考え方です。
一つの会社に依存するという考えは捨てて実力をつけるべきだと思います。
次の場所はどこかを常に考えながら生きることは例え大企業でも中小企業でもベンチャーでも大事なことです。

【引用始まり】 — 少し分かりやすく解釈すれば「働き者」の時代なのだろうと思う。さまざまな日本の若者と接してみて思うのは、これからの時代に合わないのは「頭はいいけど怠惰」というタイプだろう。
(中略)
ネット空間から即座に反応が返ってくることに興奮したり、ミクシィで友達をたくさん作りそこから生まれる新しい関係を積極的に面白がったりしている「働き者」タイプの人たちは「そんなこと何がおもしろいの」と言ってる「面倒くさがりや」タイプの「怠け者」よりもあきらかに「けものみち」向きである。
(中略)
「けものみち」で「頭が良ければいいだろう」というのは通用しない。何かを知っている、何かを記憶しているというタイプの頭の良さは、あまり重要ではなくなるからだ。【引用終わり】 —

ちなみにここでいう「けものみち」とは、旧社会の中での型にはまった生き方ではなく、混沌とした世界の中でも自分ひとりで生きていく力、今までなかった新しい生き方のようなものことだとぼくは解釈しています。

【引用始まり】 — 「タダの高速道路ができたのに、なんでみんな歩いているんだよ!なんでどこにも行こうとしないんだよ!」
(中略)
インターネットに関しては、日本では「そうだ、走ってみよう!どこまでいけるか、行ってみよう!」という人よりも「沿道で物を売ったらどれだけ儲かるだろう」とか「まだ整備されていないのに危険だ」とか「そんな道路、いらない!」といった意見がまだ根強い。
(中略)
そこまでネガティブでない人にしても、インターネットを通じて、働き方や生き方を変えることができるということを本当に信じている人が日本にはどれだけいるのか【引用終わり】 —

ぼくはこの人の書いた本を読むたびに興奮を覚えます。
筆者もブログを書いており、よくブログの話も出てくるのですがブログの良さというかインターネットの可能性は、ブログで自分の波長を世の中に発信し続けることによって志向性を同じくする人々との出会う可能性を高めてくれることであると書かれています。ぼくもまさにそう思うし、これまでもたくさんの人とブログを通じて出会ってきたし、これからWeb業界で働き始め東京で暮らし、ますますそういう機会が増えるだろうし、お互いの人生にとってプラスになるような人とたくさん出会えることを楽しみにしています。

長くなりましたが、お勧めの本です。

2 件のコメント

  • [読みました]
    web人には必読ですよね。心に火が点く本。
    僕はまだ高速道路をノロノロ運転しているような状態・・・。走りたい!!

  • [ueno上等兵]
    心に火が点く本という意味では良書には間違いないですね。ぼくはまだ高速道路にすら辿りついていない気がしています・・。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1983年大分県生まれ。東京在住のWeb系エンジニア。
    ポータルサイト、ファッションECサイト、コーディネートアプリ、食品ECサイトの開発運用などを経験。 人に役立つことや面白い記事を書けたらなと思っています。