グーグルが日本を破壊する

先週読んだグーグルに勝つ広告モデル (光文社新書 349)は、テレビ・ラジオ・新聞という従来のマスメディアがいかにして生き残るかという、マスメディア側の視点から書かれた本で正直全くおもしろくありませんでした。経営コンサルタントによる滅び行く業界へのアドバイスという感じの内容です。

そして今週読んだ
グーグルが日本を破壊する (PHP新書 518) (PHP新書 518)

は同じ様にマスメディアの崩壊についてWeb側からの視点で描かれており、非常におもしろかったです。
目次です。
【引用始まり】 — ◎グーグルはあなたをどう「操る」のか?
◎グーグルはいつ没落し始めるのか?
◎つまらないテレビをグーグルは変えるか?
◎高収入で独占的な業界ほど破滅が近い
◎携帯電話になにかが入りなにかが出ていく
◎新聞社がつぎつぎ倒産する日
◎「日本型企業」マイクロソフトの落日
◎グーグル後に勝つ日本の技術【引用終わり】 —

ちなみにぼくがおもしろいと感じた部分をいくつか抜粋して紹介してみようと思います。

P72
【引用始まり】 — さらに動画サイトのユーチューブに、BBCのニュースや番組が配信されるようになった。「英国のすぐれたコンテンツを世界中の視聴者に配信する」と、積極的なネット配信に打って出たのだ。
米国ではABCやNBCなど四大ネットワークが、自社のウェブサイトでテレビ番組を流している。無料で、しかも最新の番組が見られるのも画期的だが、なにより合法的に行われていることが、著作権問題の影を引きずっているユーチューブと違うところでもある。【引用終わり】 —

これです。
ぼくが前から再三、訴えてきた規制に守られて動きの遅い日本の放送局に求めている生き残り戦略は。

P77
テレビ局の衰退への予想展開です。
要約すると
【引用始まり】 — 第一段階
アドワーズによって広告の費用対効果を知った日本の広告主は、テレビCM費用を減らしネットに注力し、CM単価は必ず下がる。財政的危機に陥ったテレビ局は人件費の削減を実施し、給料ダウン、人員整理、部署の統廃合が進み、それだけでは済まず同じような番組を作るテレビ局の再編統合時代が訪れる。

第二段階
総務省は「競争の健全化と番組品質の維持のために新規参入を認める」という方針を打ち出す。なぜならば、テレビ業界は合従連衝を繰り返して均衝縮小し、番組品質が低下し、視聴者のテレビ離れが致命的となる。テレビを作る電機メーカーなど関連会社は経済産業省や総務省へ事態の解決への圧力をかけることは間違いない。

この間、放送法や著作権などの規制や、現実の課題を議論する諮問機関を役所が発足させるが、ほとんどは既得権者のためのアリバイづくりが目的であり、成果は出ずに終焉する。【引用終わり】 —

さらにP106
【引用始まり】 — ではネット広告はいつごろ首位のテレビに追いつくのだろう。ネット広告費は「インターネット時代のメディアビジネス」(みずほコーポレート銀行調査)の試算では、2011年に一兆円を超えるという。また「ネット広告がテレビCMを超える日」(毎日コミュニケーションズ)では2017年に一兆八千億円を超え、テレビCMと並ぶと予測している。【引用終わり】 —
現在、ネット広告費は年間6000億円、ついに雑誌を抜きテレビ、新聞に次ぐ第3位の広告媒体へと成長してます。しかもネット広告費は前年比30%近い伸びなのに対し、その他の媒体はいずれも前年比マイナス成長となっています。ネット広告が広告業界の中心になっていくことは明白です。特に新聞はネットの影響をもろに受けやすく

新聞広告費
2000年・・・1兆2474億円
2007年・・・9462億円
と激減しています。

新聞はテキスト媒体としてネットと競合しやすい面がありますが、これからはマス広告の代表であるテレビもターゲットです。
P93
【引用始まり】 — 現在、アドワーズ広告はインターネットが中心だ。だが、米国テレビでCM業界への進出がGoogleTVAdsで始まりつつある。成功報酬型のテレビCMが米国で普及すれば、やがて日本にも確実に波及し、黒船の襲来となる。【引用終わり】 —

電通勤務の友人も言ってましたが、日本ではまだまだネット広告を舐めてるとこがあるんですよね。100年続いた広告代理店の時代をぶち壊してやりたいものです。

こう見てくると、この本が巷に溢れるグーグル絶賛本の一つであることがよく分かったと思いますが、それでも出たばかりの本で最新の情報も多く載っているし面白かったです。グーグルがまさにそうですが、ネットビジネスと広告ビジネスは密接に結びついているし、ぼくは面白いサービスに広告を載せて稼ぐ方法よりは新しい広告モデル事態を開発することが重要なんじゃないかと思っています。新たな収益構造を生み出すことに魅力を感じるし、それを見つけたら会社辞めようかと思います。

ちなみにグーグルの携帯新事業、アンドロイドについて
【引用始まり】 — アンドロイドが成功したら先の携帯の買い方はこうなる。利用者はまず気に入ったデザインや機能を持った携帯電話を買う。それから通信キャリアをサービスや価格で選ぶ。ドコモもあるし新興事業者も出てきているだろう。ほしいアプリが出てくればそのときにダウンロードして使う。別のキャリアからもっと安いサービスが出てくれば通信キャリアをすぐ切り替えることも簡単にできるようになる。【引用終わり】 —
と述べられています。

来月、日本でもiPhoneが発売となりますが、この辺が一つのターニングポイントになるんじゃないかと個人的には思っています。近い将来、携帯とPCは同じような扱いになり、どこのキャリアでも同じ機種が使え、例えばiPhoneにはちゃんとしたOSが搭載されていますからその上で動かすガジェットやウィジェットのようなモノを消費者の好みでダウンロードすることが携帯の主な使い方になっていき、そこが新しいビジネスチャンスなのではないでしょうか。携帯用アプリや携帯用サイトだと言ってしまうと陳腐ですが、何か新しいことが起きるとすればここな気がします。

今ってグーグルドキュメントもあるし、今後はさらにブラウザ上で全てができるようになり、高速ブロードバンドに接続されていないPCなんて今後ますます存在しなくなっていきます。そうなるとどのOSを使っているかなんて誰も気にしなくなっていき、それはマイクロソフトの終焉を意味していて、携帯もいずれそうなっていくんじゃないかってことです。つまり、次のインフラと、そのインフラ上の制空権を争う時代が始まるのではないでしょうか。例えば、それは新しい広告ビジネスモデルを持った会社かもしれないし、全く違う収益構造を作り出した会社かもしれませんが、マイクロソフト、グーグルの次はそんな会社じゃないかと思います。

グーグルのCEOエリック・シュミットが世界経済フォーラムが主催する2008年ダボス会議で「インターネットの再創造であり、巨大な革命が起こるだろう」と携帯電話広告に関して予想しています。次の時代の主役の一つが携帯であることは間違いありません。

言いたいことをあまりうまくまとめられずに伝わったかどうか自信がありませんが、なかなか面白い本でしたよ。

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