テレビ進化論

今週読んだ本です。
テレビ進化論 (講談社現代新書 1938) (講談社現代新書 1938)

テレビの進化ということで、当然ながら放送と通信の融合について書かれた本なのですが著者が経済産業省出身の現早稲田大学准教授ということで、テレビの歴史と著作権法を軸に体系的に書かれた教科書的な内容に仕上がっています。映画とテレビとネットの関係を歴史から考察し、今後のテレビ、コンテンツ業界がどう変化していくのかを非常に詳しく述べており、勉強になりますがあくまでテレビについての話なのでWeb進化論的な面白さはないかもしれません。

その中でも面白いなと思った部分をいくつか抜粋してみようと思います。

P46
【引用始まり】 — 当時全盛期にあった映画産業はテレビ産業の発展を恐れたのか、61年、ギョーカイ内でテレビ放送への劇映画提供を打ち切り、専属俳優のテレビ出演も制限するカルテルを結ぶ、これが後に悪名高い「五社協定」である。映画産業は、劇場でのみ独占的にいることができるスターを確保することで、集客力を保持する戦略に出たわけだ。

しかし、結果的に、これが仇になった。【引用終わり】 —

それまで強大な力を誇っていた映画業界が新興のテレビ業界の成長を恐れ、コンテンツの供給を渋ったために、結果的にテレビ業界は自主的なコンテンツ作成能力が鍛えられることになったという話です。今後のテレビとネットの関係も同じなのではないかと思いました。

P48
【引用始まり】 — 「手軽である」というのは決して軽視できない要因である。なぜなら、それは消費者の消費習慣に直結しているからだ。映像を見る娯楽行為は日々の生活習慣の中に組み込まれているのもので、一度確立すれば容易には消滅しない。「手軽さ」の影響は、地殻変動のように大きなものである。【引用終わり】 —

手軽るであること。
これが何事も普及へのキーワードだなと思います。

P169
【引用始まり】 — ここで大事になる視点は「次のテレビ」とウェブ2.0という二つの異なるフィールドのビジネスはとても強い補完関係にあるということだ。「次のテレビ」にとって、ウェブ2.0系事業者が持っている消費者と商品のマッチング技術はどうしても欠かせない技術資本だ。残念ながら、これを「次のテレビ」サービスへ進化すべきテレビ局やコンテンツ事業者は持っていない。また、「次のテレビ」が生み出す個人挙動情報を活用してくれる顧客も、またこうしたウェブ2.0系事業者なのである。【引用終わり】 —

ここで次世代テレビとグーグルやヤフー、アマゾンといったネット系企業の技術が関わってきます。今ネット業界のコンテンツマッチ系の技術は間違いなく世界一です。2.0的視点も数段上です。

P172
【引用始まり】 — こうして、「次のテレビ」は、単にコンテンツのためのメディアにとどまらず、マッチング技術とし個人情報ビジネスという二つの面で、広大な情報ビジネスの一部として機能し始める。【引用終わり】 —

先週のニュースでしたが、国内でIPTVフォーラムというものが結成され、民法キー局各社、NTT各社、松下電器、ソニーなど計15社によるIPTVの規格が統一されるということです。これはDVDの時のような無駄な規格争いを防ぐことが目的で、もうすぐ本格的に始まるビデオ・オン・デマンド (VOD)のための布石です。VODが普及すると視聴者がネットを通じて見たいときに見たい番組をみることができるようになります。

「放送と通信の融合」は結局、どういう影響をテレビや通信の業界にもたらすのでしょうか。「融合」によってテレビはどう変わるのでしょうか。そして、それはテレビに代わる何かをもたらすのでしょうか。それが本書が一番答えたい問いになっています。

参考:ビデオ・オン・デマンド
参考:アクトビラ

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