上司のシゴトは部下の給料を上げること

評価するということ、評価されるということ

最近、うちの会社でも評価シーズンが終わりましたが、評価のシーズンになるといろいろ思うところが出てきます。評価制度と言えば、古くから日本では行動評価制度、目標評価制度(MBO)、OKRなどなど流行り廃りがあるわけですが、どの評価制度も万能ではなく、誰しもが納得する評価制度はないのではないかと思っています。そもそも人が人を評価できるという考え方が傲慢であり、そうは言ってもなんらかの昇給制度がないと組織運営に支障が出るため、仕方なくどの会社も評価制度を騙し騙し運用している、というのが現実じゃないでしょうか。

しかし、そんな最適な評価制度がないという中であっても、評価される立場の人間としては定められたルールの中で全力を尽くすというのは義務だとは思っています。ぼくはそれを最初に就職した会社で叩き込まれてきました。 https://twitter.com/sashihara_jp/status/1118512905572343808

そしていま、ぼくも評価される立場ではありますが、評価する立場でもあるので、最近思うことを書いてみます。

上司のシゴトは部下の給料を上げること

給料が上がる状態というのはどういう状態でしょうか。それは、その人が

  • 著しく成長を遂げた
  • 大きな成果を出した
  • プロダクトや会社に非常に貢献した

というような状態だと思います。 こういう状態であれば、その人の給料は上がってもいいはず。

ということはですよ。 逆に考えれば、部下の給料を上げようと思ったら上記のようなことを部下が達成しなければいけないわけです。それをサポートするのが上司の役割なわけであって、部下の給料が上がる≒上司が果たすべき役割を果たしていると言えないでしょうか。

給料が上がるというのは結果ではありますが、その結果に導くためには、上司として正しい働きかけができているというわけで、つまり上司たるもの、部下の給料を上げてあげられるような仕事をしなければいけないと常々思っています。

給与体系、給与テーブルが邪魔をする

ただですよ、上記の話は本来ならば、という話で、多くの会社には給与テーブルというものがあって、それが理想的な昇給の邪魔をするわけです。どういうことかというと、成長して、成果を出して、貢献したのであれば青天井で給料は上がるのが理想だと思うのですが、給与テーブルがあるが故に、

「あいつ前期も昇給させたしなぁ。」

とか

「次上げるとランクの上限に近づくからまだ上げたくないな。」

とかペースやキャップが意識されることになり、本来であれば純粋に成果や成長を絶対評価して報いてあげたいのに、給与テーブルの存在が自然と毎期上げるわけにはいかないという給与ステイへの圧力になってしまい、被評価者に

「今期あれだけ頑張って圧倒的な成果を出したにも関わらず給料が上がらなかった。」

というような負の感情を抱かせてしまうことになりかねず、現場のモチベーションを下げてしまう要因になる可能性があります。 これは評価制度と給与テーブルという制度の相性が悪いから起きる悲劇だと思います。

理想の給与体系とは

そこで理想の給与体系とはどのようなものなんだろうということを知りたく以下のような本を読んでみました。 [itemlink post_id="11121"] この本は給与制度がまだない中小企業などに対してコンサルしている内容を書いているもので、想像よりずっと内容は面白かったです。

例えば、多くの中小企業は「売上が増えていないのに従業員の給料を上げるなんて無理だよ」と言い、昇給ルールを定めていない会社が多いそうですが、給料が増えるかどうかわからない会社に優秀な人が集まるわけがないなど中小企業あるあるだったり、

社員のやる気をそぐ4大要因は

<ol>

  • 賃金や賞与支給額が期待水準に達しないことに対する不満
  • <li>他の社員と比べて自分の賃金処遇が低いことに対する不平</li>
    
    <li>自分を正当に評価しない会社や上司に対する不信</li>
    
    <li>将来の賃金処遇が見通せないことに対する不安</li></ol>
    

    だとか、

    業績が悪いから今年はボーナスを出せないみたいな愚策は絶対にやっちゃいけないことだとか、 賃金制度の最大の目的は、社員のやる気の総和を最大化することだという話だとか、 そうだよなーと思うことが多く面白かったです。

    理想の給与テーブル

    それでこの本の中に給与テーブルの例が載っていたのですが、これがすごくいいなーと思ったので紹介します。

    このテーブルのいいところは、等級というのが通常「ランク」とか呼ばれるものだと思うのですが、等級の中にも号というものが存在していて、要は給与テーブルが2次元になっています。大きな枠として等級が存在していて、「昇格」すると等級が上がる、等級が上がるまではいかなくても、号が上がる「昇給」も別にあるんですよね。で、それぞれの等級が何が違うかというと、「昇給」の上がり幅が隣の1.25倍に設定されていて、「最低号」の給与も上がってるという風になっています。

    これなら等級が少ないがために給料が上がりづらいということを防げていて、しかも号が90とかまであるんで成果に応じて昇給させてあげることが可能です。ここでは上限号が定められていますが、ぼくはここは青天井でもいいのではないかと思います。つまり部下が上司の給料を追い抜いたとしても、それはそれで役職なんて役割分担に過ぎないのだから、それはそれでいいではないかと思ってます。

    もしくは

    上記の給与テーブルは割と理想に近いなと思いましたが、通常の給与テーブルを残すとすると、一般的にはやはりその期の成果はボーナスという形で報いて、成長や今後の未来への期待に対する投資として基本給与で反映させるという形が、納得感があるかなと思います。

    むかし、何かの本でこれも読んだのですが、めちゃめちゃ仕事ができて成果を出しまくるけど、管理職にしちゃいけないタイプっていうのはやっぱりいて、そういう人に対してどう報いるかというのは多めの賞与を出すべきで、成果に対しては賞与で報いよ、みたいなことが書いていました。

    それこそ、成果を出したから昇給させるルールでは給与テーブル制度ではすぐに頭打ちになるので限界があります。給与テーブルを2次元青天井方式に変えるか、成果はボーナスに反映方式を強めにするか、その2択になるのかなと思いました。

    おわり