ZOZOのプライベートブランドとは一体どんなサービスなのか!?大胆予想してみた。

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイがかねてよりローンチを告知している自社企画のプライベートブランド(PB)の全貌が徐々に明らかになってきました。

https://twitter.com/yousuck2020/status/832395038629908480

https://twitter.com/yousuck2020/status/832444835189526529

以前からTwitterや決算説明会で情報が小出しにされていましたが、先日はついにプライベートブランドに関する求人が始まりました。求人内容はプライベートブランドの方向性を示唆するものとなっています。プライベートブランド立ち上げスタッフ募集!(スタートトゥデイ採用情報)

募集要項

募集要項を眺めるといろんなヒントが散りばめられていることが分かります。

生産管理スタッフ

  • アパレルの生産に関わる管理全般 (品質管理、納期管理、コスト管理、資材調達、生産システム構築など)
  • 新しい生産の仕組みの開発
  • 世界各地で新しい原料調達先や優良工場のネットワークを構築できる方
  • オンデマンド生産を実現してみたい方

品質管理スタッフ

  • 海外工場のアパレル製品の品質管理ができる方
  • 工場への技術指導ができ、品質管理レベルの引き上げができる方

パタンナー

  • 紳士服・テーラーアイテムに特化した経験があり、シャツ・スーツの縫製を工場に指導できる方
  • スポーツブランドで一般既製品~競技服まで担当した経験がある方
  • 下着・インナーウエア・ニットカットソーに特化した経験がある方

グレーダー

  • 特殊変化のグレーディングができる、またはご経験がある方
  • 重衣料のサイズ展開を制御できる方
  • サイズグレーディングの適正寸法を判断できる方
  • ITエンジニアとのグレーディングツール開発に興味ある方

求人というのは、やりたいことがあって、それを実現するために社内の人材だけでは足りない場合に行うものですから、逆にこれを見ればやりたいことが自ずと見えてくるはずです。

プライベートブランドの内容を予想してみました

最初に言っておくと、ぼくはスタートトゥデイの中の人たちと知り合いが多いですが、今回の内容については一切聞いていないので、あくまで外に出ている情報のみで想像してみているだけですのであしからず。

工場レベルで生産管理を自社でやろうとしている

まず、プライベートブランドと言えど、デザインやコンセプトは自社でやるけど、実際の製造は他社に任せる所謂OEM的なこともできたと思いますが、今回は工場への技術指導まで要件に入っていることから本格的に服作りにトライするということが伺えます。デザインから製造、販売まで垂直的に自社で全て行うというのはユニクロ的な立ち位置ですね。

また、ターゲットとして海外工場と明確に書いていることから、シタテルのように国内の小規模な工場のネットワークを活用するというよりは、最初から海外で大規模に行いたいという意思が読み取れます。

さらに全ての募集要項にビジネスレベルの中国語が歓迎スキルに入っていることから、最初は中国の工場で始めようとしているのではないでしょうか。スタートトゥデイは以前、中国に進出したことがありましたが撤退しています、中国に再挑戦したいというのはWEARの頃から言っていることなので、今回募集した社員を現地に派遣する可能性はあるかなと思いました。派遣までは行かなくても、おそらく現地のスタッフの管理は必須になると見越してのことなのでしょう。

参考記事:スタートトゥデイ、スマホアプリの新サービスで再び中国・韓国で挑戦?

オーダーメイド的要素は必ず入っているはず

前澤友作社長は上場セレモニー時にもTシャツを着ていたのでラフなイメージが世間にはあるかもしれませんが、大事な時にはスーツを着ることが多いし、スーツに限らずオーダーメイドの良さを時折語っているのを見かけます。やはり自分の体型にぴったりあった服は心地よいそうです。

なので必ずオーダーメイドの要素は入るでしょうし、パタンナーの募集要項にも「紳士服全般・テーラーアイテムに特化した経験」が最初にきているのでスーツのオーダーメイドはきっとやるのでしょう。そして、オーダーメイドって普通、自分の体型を測定する必要があるところを、ZOZOの購入データを使ってある程度自動で算出してセミオーダーのような形にすることが考えられます。

だからグレーダー(パタンナーの起こした標準寸法の型紙をもとに、大小のサイズの型紙を作る人)の募集要項に「特殊変化のグレーディング」とあるのではないでしょうか。

スポーツのユニフォーム関係はやりそう

スタートトゥデイと言えば、最近もマリンスタジアム命名権を買って「ZOZOマリンスタジアム」になりましたし、プロサッカー選手本田圭佑さんの所属事務所が運営する幕張のスポーツ施設のネーミングライツを取得してたり、サッカーユニフォームのデザインをしたりと、スポーツに関する活動に積極的です。

参考記事:侍や忍者風のサッカー日本チームウエアをゾゾタウンがデザイン

オリジナルのスポーツユニフォームを簡単に作れるサービスはそれなりに需要があるでしょうし、ある程度発注ロットも稼げるのでやったほうがいいよね、となる可能性は高いと思います。こちらもパタンナーの募集要項の2番目に「スポーツブランドで一般既製品~競技服まで担当した経験がある方」がありますし。

ICT、IoTをフル活用

上記まではおそらく当たっているでしょうが、これだけだったら別に普通だと思うんですよね。ただ、前澤友作社長の言う「ICT、IoTをフル活用」「世界初の試み」という部分がどれだけ革新的要素が入っているか、注目点はここですよね。

普通に考えると、ZOZOTOWN、WEARのアパレル関係ユーザーのデータベースとしては世界一レベルで持っているので、これを活用しない理由はないでしょう。となると、やはりこれまで購入した商品の採寸データや持っている服の数値が活用されるでしょうし、ここがICTの部分ではないでしょうか。

ただ、ここってZOZO側にも開発が当然必要なので、ZOZOTOWN作り直しにつき「40名」のエンジニア求む!で全面リニューアルを計画している最中で既存サイトに新機能が加わるのは、エンジニア視点で考えると普通にしんどいので大変だなーと思いますが。

予想として難しいのはIoTの部分です。IoTというのはモノとインターネットの融合ということですから、インターネットはともかく、モノ側が何なのかというところになります。いくつか考えてみました。

作った服にチップが埋め込まれている

単純に最初に思いつくのが服自体にチップのようなものが埋め込まれていろんなものを計測し、それが自動でインターネット接続し、取得されるというようなものです。例えば、ZOZOで作った服を着てマリンスタジアムや提携しているアパレルショップに行ったら、それがZOZO側に通知され、スマホにクーポンが送られてくるとか。

でもこれはチップのコストがかかりそうだし、チップがあれば作った服じゃなくても良さそうだからないかな。

工場にセンサーが設置されオーダー商品の様子が丸わかり

工場のIoT化というのは日本でも政府主導で進められており、それはどちらかと言うと工場自体の生産効率向上目的だったりするわけですが、これをユーザー視点で活用しようというのはさもありなんです。

例えば、オリジナルの商品をオーダーした場合、パタンナーが完成予定のデータを送ってきてくれ、それが中国の工場に送られてたら、布がカットされる様子やミシンで縫われる様子がリアルタイムで視聴できる、さらに包装されて配送されるまでが地図上でも見える化されている。これだったらユーザーのワクワク感が半端なく満たされるでしょうし、まさに世界初。

案外こっち方面なんじゃないかとぼくは予想してます。

リユース方面での進化

ZOZOの新規事業系の中で売上的に好調なのがZOZOUSEDです、クラウンジュエルという外部の会社を買収してから始まったサービスですが、買収以来長年驚異的な成長を続けており、アパレル業界には古着市場が定着しているし、今後も期待できる分野です。

でも、この古着を買うという文化が購入平均単価を押し下げているという要素もあり、アパレル不況の一因になっているとも言われています。だから、プライベートブランドではオーダーして作った服が古くなったからと言って捨てるのではなく、変わった体型に合わせてリサイズしたり、傷んだパーツを交換できる、ファッションを長く楽しんでもらい、少しだけ手数料をいただく、そういうユーズドの進化を目指しても不思議ではないかなと思います。

けど、これをIoTというかと言われるとちょっと厳しいか。

ウエアラブルデバイスとの連携で試着シミュレーション

ウエアラブルデバイスが注目されて早数年、どちらかと言えば下火ではありますが、IoTの先駆け的存在です。ウエアラブルデバイスで話題になったGoogleGlassのようなIoTメガネをスタートトゥデイが開発し、それを装着した人が登録したオーダーメイドの服を着た状態で人を見れる、となれば面白いですね。

オーダーメイドでなくても、ECの最大のデメリットはいつの時代も「試着することができない、実物を見ることができない」この1点です。これを如何に解決できるかというのが、永遠の課題なわけで、いろんなベンチャー企業が立ち上がっていたりするわけですが、オーダーメイドで作った服だからこそ、データは全て手元にあるので3Dシミュレーションができる、ということが考えられるかもしれません。

精度の問題とか、開発はめちゃくちゃ大変そうですが、最近はVRやARも流行っていて海外ベンチャーにもだいぶ投資してるし、そう考えるとかなり実現可能性は高そうな気がします。

まとめ

以上、公開されている情報からいろいろと想像してみました。たぶん全然当たってないだろうと思いますが、というかむしろ予想だにしなかった方向で「そうきたか~」となることを楽しみにしています。

スタートトゥデイも新興企業と言われることもありますが、創業から20年、いつも何か革新的なことをやってくれるんじゃないかという不思議な期待感が魅力な会社だと思います。これからも応援していきたいと思います。