2年間チームで毎週1on1に取り組んでわかった3つの効果

ぼくたちのチームでは発足以来1on1をやり続けています。頻度は週に1回1人30分、チームのメンバー人数は5人いるので毎週2時間半から3時間かけて1on1を実施しています。

本記事では2年間続けた1on1からどんな効果があったのかという点について3つご紹介したいと思います。

経験学習が促進される

ヤフーの1on1という有名な本があります。

この本の中で1on1は「経験学習」を促進させることができると書かれています。
経験学習とは

文字通り経験から学ぶことに重きを置く人材育成の方法で、職場での経験を学びに換えて、次の仕事経験に活かしていくという考え方です。「7:2:1」の理論というものがあります。これは人の成長を決める要素の比率と言われていて7割は「仕事経験から学ぶ」割合、2割は「他者から学ぶ」割合、そして残り1割は「研修や書籍から学ぶ」を示しています。

人は実体験から学ぶことが最も多い、それはなんとなく実感があることですよね。しかし、実体験から学ぶといっても、実際のところ、経験したことを効率的に学びに変換することの難易度は高めです。

例えば趣味が「釣り」だったとして、ある日釣りに行ったら大漁だった。それで喜んで終わりかもしれませんが、大漁という事象の再現性を高めるためには、なぜ今日は大漁だったのか、うまくいかなかった日との違いはなんなのか、場所が良かった?時間帯が良かった?餌が良かった?と成功した要因を分析して、そこから学びを見つける必要があります。

このように具体的経験から、経験を掘り下げていって(省察的観察)、そこから教訓を引き出し(概念化)、次の仕事(新しい試み)に活かしていくというのが経験学習です。1on1には、この経験学習サイクルを何度も回していくことで社員の学びを深めていこうという狙いがあります。

このため、1on1では下記のような流れで質問をすることがあります。

「今週を振り返って点数をつけると100点満点で何点だった?」
「その点数を自分でつけたのはなぜ?」
「うまくいった仕事はなぜうまくいったんだろう?」
「逆にうまくいかなかった仕事はなぜうまくいかなかった?」
「その原因を分解するとどういう要素がありそう?」
「じゃあ次の仕事ではどういうことに気をつけて進めて行こうか」

何かを教えるわけではなく、全ては自分の中に答えはあるので、それを分解して整理するお手伝いをするという感じです。これはコーチングの考え方に近いと思っています。

1on1には「ティーチング」「コーチング」「フィードバック」という3つのスキルが必要だと言われています。

  • 「ティーチング」は相手が知らない知識を教えること
  • 「コーチング」は相手が気が付いていないことに気付かせたり次の行動に繋がせること
  • 「フィードバック」は自分がどう見えているかを伝えること

ティーチングやフィードバックはイメージがしやすいと思います。上司の方が一般的には経験が豊富なため、ついつい「そういう時はおれはこうやって切り抜けたからこうしたらいいよ」とか教えてやるというなりがちなスタイルです。

それはそれで必要なタイミングもあると思いますし使い方だと思いますが、人は言われたことより自分で気付いたり自分で決めたことの方がやる気が出たりするので個人的には今後はコーチングスキルを磨いていかないとなと思っています。

先日お会いした方が米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)という資格を持っていてこちらの本をオススメしていたので今度読んでみたいと思います。

この経験学習の促進が得られるという点は1on1の非常に大きな効果の1つだと思います。

メンバーとの信頼関係が構築できる

上司と部下という関係の前に仕事は人と人とのコミュニケーションです。たまたま同じ会社の同じチームにいる、最初はほとんど知らない人同士という関係からスタートして、一緒に仕事をしていくためには信頼関係を育んでいく必要があります。

信頼関係を育むために必要なのはお互いをより知っていくことであり、コミュニケーションの頻度を増やしていくことが大事です。人は相手のことを知れば知るほど、知らないことがたくさんあることに気が付きますし、単純接触効果といって人は繰り返し接すると相手に対する好意度や印象が高まります。部下と1対1で話す機会が半年に1回の評価面談だけで人間関係がうまくいくわけがありません。月に1回でもだいぶ少ないと思います。せめて隔週、できれば週1回は必要だと思っています。

1on1という箱が毎週用意されていることで、その機会を活用して相手に伝えたいことをスムーズに伝えられるようになります。部下がなんとなくモヤモヤしていることがあり、機会があったら上司に伝えようと思っていたとして、その機会が週に1回やってくればモヤモヤを早く上司に対して伝えて解消することができると思います。そうすれば問題が大きくなるまえに障害を取り除いてチームの成功に近づくはずです。

週1回というと「いやいや、週1回どころか毎日何回も話してるし、うちでは必要ないっしょ」って言う人もいますが、それでもちゃんと時間を作って話すという機会を作ることは大事で、話すトピックを考えることで自分やチームに改めて向き合うことができますし、2人だけで話すことで普段周りに人がいる状態では話しづらい相談もできます。それに1on1で信頼関係が構築されることで普段のコミュニケーションもより頻度高く活発になり話しやすくなるはずです。1on1は心理的安全性を高めるからです。

逆に週1回なんて忙しいから無理だよっていう人もいますが、部下のために週に30分の時間を作ってあげられないというのは、それだけ部下の人生や状態に対して責任を持つことに対するプライオリティが低いということで、果たしてそれでいいのでしょうかと思います。

1on1はメンバーとの信頼関係を強化することができ、その信頼関係が他の全てのコミュニケーションやチーム内施策の土台になるため非常に重要だと思います。

半期の評価面談で驚かせない(ことができる)

会社員の退職の大きな理由に評価への不満があります。評価への不満とは自己評価よりも低い評価を受けたときのギャップから生まれます。そのギャップが大きいほど不満は大きくなり退職へと繋がっていきます。

そして何よりそのギャップが半年に1回の評価面談で初めて発覚することで、言われた方は自己評価とのあまりの乖離に驚くのです。だったらもっと早く言ってくれよと思うわけです。コミュニケーションの基本は相手を驚かせないことだと思います。

1on1で毎週仕事に対するフィードバックを行っていれば、最後の評価面談では毎週の1on1の議事録を眺めるだけで良い状態に近く、評価者も被評価者もそこから大きなズレがない限り驚くこともないのでギャップも生まれないはずです。評価で大事なのは評価が正確なことよりむしろ、その評価で相手がどれだけ納得できるかだと思います。

また、逆も然りで優秀な部下からの突然の退職の申し出。上司にとっては一番びっくりするし辛いし困ることですよね。辞める辞めないの前に小さな不満の種からちゃんと拾って、そういう気持ちが少しでもあるなら解決できないのか一緒に考えていく、そういうスタイルが望ましいと思いますが、そのためにはやはり頻繁な1対1で話す時間が重要になってくると思います。相手の微妙な心境の変化にまで寄り添っていくべきです。

まとめ

日本には古くから以心伝心のカルチャーがあり阿吽の呼吸、暗黙の了解がルールで美徳とされてきました。それが1on1のカルチャーを阻害している部分が多々あると思います。

しかし昨今の成果主義、目標管理制度の崩壊、ダイバーシティの進み、人材の流動性の高まりなどから、より個人と向き合って、組織と個人の紐付けを強化してかなければ、組織が成り立たない時代になってきました。

1on1を行うことで部下は上司から「見てもらっている」という意識が芽生え帰属意識が高まります。上司は部下を「見る」ことで部下の変化や考えを深く知ることができます。1on1によりしっかりした信頼関係が生まれ、その信頼関係が競争優位性を生んでいくはずです。

最後に。この記事は下記の2冊の本を影響を多分に受けています。どちらも良書です。

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